TRAILER
予告編

INTRODUCTION
イントロダクション

高校最後の夏、同級生の遊から映画づくりに誘われる景たち。
撮影の時間とともに、彼らの関係は深まり、そして変化していく…

手探りで映画をつくる高校生たちの姿を、虚実を横断する驚くべき手法で見つめ、創作の喜びと痛み、そして時間がもたらす変化を優しく、鮮明に描き出す『Retake リテイク』

PFFアワード2023ではグランプリに輝いたほか、北米最大の日本映画祭「ジャパンカッツ」にて大林賞、第24回ハンブルク日本映画祭では最優秀独立作品審査員賞を受賞するなど、世界中の映画祭を魅了してきた本作が遂に劇場公開を迎える。

監督を務めたのは学生時代から映像制作を始め、現在は映像作品制作ワークショップを多数開催しつつ映画制作を行っている中野晃太。高校の映像制作の授業で講師としてキャストたちと出会い、彼女たちの表現へのパッションと、悩みつつも楽しみながら協働して作品を創り上げていく姿勢に触発され、本作の制作に至った。

ヒロインの遊に扮するのは、大躍進中のバンド・チョーキューメイのメンバーとしても活躍する麗。高校時代に中野監督の映像制作のワークショップを受講、監督として映画制作を行なった経験をもとに、バンド活動から一転映画づくりに目覚めるアグレッシブな高校生を自然体で演じ切った。

主人公の高校生・景を演じるのはCMから自主制作映画まで幅広く活躍する武藤優汰。中野監督の「彼しかしない」という直感で、キャストの中で唯一の公募で主演を務めた。

ほか出演は中野監督・麗と一緒に映画制作の経験があるアリサ役のタカノアレイナ、麗の専門学校の友人でもあった海役の大原奈子、大学で映画を学んでいた二郎役の千葉龍青という、限りなく役柄とその関係性に近い顔ぶれ。キャスト/スタッフという枠にとらわれず、全員がシナリオや役柄について対話を重ねた、さながら全員で創り上げた作品とも言える。

主題歌は麗が高校時代に制作しており、チョーキューメイのバンド形式として蘇った「また、夏になる」。本作のテーマと図らずも重なるという、小さな奇跡を起こした楽曲が作品世界に彩りを添える。

流れ続ける時間の中で切り取られた、ささやかでかけがえのない、ひと夏の物語。

STORY
ストーリー

写真が好きだがしっくりしたものが撮れない高校3年生の景はある日、遠い存在と思っていた同級生の遊から映画づくりに誘われる。
遊が撮りたい映画は「絵描きの男の子と落ち着きのない女の子が『時間の流れない世界』を目指して旅をする」という物語。友人のアリサ、海、二郎も集い、撮影が始まる。共に創作をする喜び、ほのかな恋心、過去の行き違い...さまざまな思いを抱える彼らの関係が、映画づくりとともに移り変わっていく—
繰り返す彼らの夏が辿り着くラストシーンとは?

CAST
キャスト

水口遊 役  麗(うらら)

大ヒット曲『貴方の恋人になりたい』をはじめ数々の名曲を生み出し続けているバンド チョーキューメイのボーカルとして活躍中。「綾鷹カフェ」のWEBCM楽曲『それはそれとして。』でも歌唱参加している。自身の曲のMVや映画作品の監督も務める。監督作品「森は鳴き止まぬ」 (高校生のためのeiga worldcup2020優秀作品賞受賞)、「美しさとは何か再考する」(ギャラリーN映画展 観客賞受賞)

関野景 役  武藤 優汰(むとう ゆうた)

出演歴
千葉テレビ「play〜乙女凪の事件簿2〜」容疑者三瀬隆一役
スカパー放送「上履きを履いたシンデレラ」山口健吾役
自主制作映画「猫と童話の物語」主演の兄 渡辺翔太役
「世界はどうせボクを知らない」中村役
CM 味の素企業広告 男子高校生役
MV チョーキューメイ『Cold Sleep』男の子役

小川アリサ 役  タカノ アレイナ

麗・中野晃太と共同監督し、出演と脚本も担当した映画作品「潮に花」が東京神田ファンタスティックフィルムコンペティション2022ノミネート

橋本海 役  大原 奈子(おおはら なこ)

音楽専門学校で出会った麗に誘われ本作に出演。現在はTickTokerとしても活躍中 https://www.tiktok.com/@shirohage?_t=8rSZeOx5sDC&_r=1

相原二郎 役  千葉 龍青(ちば りゅうせい) 

埼玉県立芸術総合高等学校 映像科で映像制作を始め、監督作「金次郎の夏」が高校生のための eiga worldcup2018佳作入選。東京造形大学映画・映像専攻領域中退。現在は本作について考察した「リテイク論(仮)」を執筆中 https://note.com/witty_oxalis479

STAFF
スタッフ

監督・脚本・撮影・編集  中野 晃太(なかの こうた)

1987年生まれ。高校から映像制作を始め、東京造形大学映画専攻にて諏訪敦彦監督に師事する。卒業後、現在までNPO 法人湘南市民メディアネットワークに勤め、2017 年より代表就任。市民、青少年を対象とした映像作品制作ワークショップ、地域や市民活動に根差した映像制作等多数行う。パナソニック教育財団より「子どもたちの心を育む活動」として奨励賞受賞。藤沢市青少年育成活動推進功労者表彰受賞。第16回かながわ子ども・子育て支援大賞 奨励賞受賞。「チョーキューメイ」のMV『孵卵』『37.2』『ユウ』『Cold Sleep』『おやすみパパママ』『ただいま』等の制作にも携わる。
本作品が劇場初公開作となる。

主題歌「また、夏になる」 チョーキューメイ

2020年梅雨ごろ結成。麗(ボーカル.・ギター・バイオリン)/れんぴ(エレキ・ピアノ)/ 空閑 興一郎(ドラム)/ おすず(ベース)による4人組バンド。日本のみならずアジアでバイラルヒットを記録した楽曲『貴方の恋人になりたい』はYouTubeでの公式MV再生数が4,200万回を超えており、TikTokでの再生回数も10億回以上。ドラマ「あせとせっけん」のオープニングやTVアニメ「悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。」「ゆびさきと恋々」のエンディングテーマ、映画「あたしの!」挿入歌も担当し大躍進中。2025年 3月から開催・全国6都市を廻る、チョーキューメイ2025ツアー「五劫の擦り切れ」を発表し、さらなる注目が集まっている。
本作主題歌の『また、夏になる』は麗が実際に高校時代に弾き語りで作った曲で、バンド・バージョンは発売中のEP「約束に守られない」に収録されている他各種サブスクでも配信中。またエレキ・ピアノのれんぴ は本作のBGMを担当している他、ドラムの空閑 興一郎は録音スタッフとしても本作に協力している。

チョーキューメイ公式サイト
EP「約束に守られない」配信サイト一覧
「 また、夏になる」MV

撮影:柳田修平 照明:金内直文  録音:飯塚了/土佐香理/庄司華菜/石井優輝

製作:NPO法人 湘南市民メディアネットワーク  配給:ミカタ・エンタテインメント 宣伝:ムービー・アクト・プロジェクト MAP

THEATER
劇場情報

東京都 シアターギルド代官山 5/9(金)~5/15(木)
長野県 上田映劇 5/30(金)〜6/9(月) ※休映6/2、6/6〜8
東京都 下北沢トリウッド 上映終了
栃木県 宇都宮ヒカリ座 上映終了
広島県 広島市映像文化ライブラリー 上映終了
兵庫県 元町映画館 上映終了
愛知県 シネマスコーレ 上映終了
東京都 新宿K's cinema 上映終了【 トークイベント決定!
栃木県 小山シネマロブレ 上映終了
京都府 アップリンク京都 上映終了
大阪府 シアターセブン 上映終了
福島県 湯本駅前ミニシアターkuramoto 上映終了
神奈川県 横浜シネマリン 上映終了

FILM FESTIVAL SCREENINGS & AWARDS
映画祭上映・受賞歴

第45回ぴあフィルムフェスティバル PFFアワード2023グランプリ受賞
第17回ニューヨーク ジャパンカッツ 大林賞受賞
第24回ハンブルク日本映画祭最優秀独立作品審査員賞受賞
第36回東京国際映画祭上映
第1回沖縄NICE映画祭上映
第14回北京国際映画祭上映 
第41回トリノ映画祭上映
第19回オランダ カメラジャパン・フェスティバル上映 
第8回ジャパニュアル ウィーン日本映画祭上映
第31回バルディビア国際映画祭上映

COMMENT
コメント

五十嵐耕平(映画監督
リテイクするごとにだんだんと画面が暗くなる。思わず撮影現場を想像して、「あぁ日が暮れていく…」と胸の内で呟いた。それがこんなに美しいことだったとは。映画内だろうが外だろうが、ただカメラの前にあった現実の、たった一度だけ記録された彼/彼女たちの表情、声、アクション。それはいつまでもスクリーンにある。

たらちねジョン(漫画家)
あの時、あの瞬間、あの一言が…。時間が巻き戻せたらどんな素晴らしい今に繋がっていくだろう。誰にも流れていた穏やかで、残酷で、取り返せないあの時間を追体験できる、そんな映画でした。

石井裕也(映画監督)
全部面白かった。画面に入り込んでくる一般の通行人さえ映画の躍動になっている。俳優もみんな楽しそう。自主映画の教科書のような作品。

杉田協士(映画監督)
どれだけ心が響き合っても、だからこそ、視線が交わり合うことはない。だからこそ、こうして映画が生まれる。『Retake リテイク』が生まれる。

安藤絋平(早稲田大学名誉教授)
手探りで初めて撮る映画、それはまるで人生そのものなんでしょうね。
それこそが、『時間が流れない世界を目指す旅』なんでしょうね。
何度も失敗して、リテイクして、投げだしそうになって、それでも何とか素晴らしいエンディングを見出そうともがいて、結局、たどり着けないものがラストシーン⋯人生⋯。
寺山修司は「君は、ラストシーンを観たか?」と問います。
結局、僕たちは人生において、思い描くラストシーンを観ることは出来ないのでしょうか⋯。
この映画に出てくる彼らは、何度でもリテイクが出来ます。若さにはその権利があります。現実にも、イメージの中でも⋯。ところで彼らはどんなラストシーンを観たのでしょうか?
寺山修司は問います。「君は、ラストシーンを観たのか?」と⋯。
とても爽やかで素敵な青春映画でした。

早川千絵(映画監督)
テイクを重ねるということは、同じ時間を繰り返す試みなのだと気づく。 考えてみれば、なんとも奇妙な行為だ。そのなんともおかしな映画作りをモチーフに、この映画は驚くべきやり方で教えてくれる。 時間は止まらないからこそ美しいのだと。

諏訪敦彦(映画監督
映画を作るとは、それぞれのやり方で自分の人生を救うということである、と言ったのは確かゴダールである。でも、どうやって? ドキュメンタリー映画の欺瞞には耐えられず、しかし単にフィクション映画を作るだけでは何か大切なものを取り逃してしまうというジレンマに引き裂かれながら、中野くんは反復=リテイクを生きるという第三の道を作り出した。自らを救う術を見出したのだ。変化する陽射しと共に何度も繰り返される演技のどれもが、かけがえのない「なんか幸せな」一度限りの瞬間であることが力強く肯定される。私はその覚悟に感動する。ブラボー!

相田冬二(Bleu et Rose/映画批評家)
部屋のなかではあんなに響きわたっていたシャッター音が、カメラを海に向けた途端、潮騒の前で黙りこむ。冒頭の光景を目の当たりにしたわたしたちは、もう体内の波がうねっている。
これは撮影論であり、観客論であり、映画論であり、劇場論であり、広義の体験論である。そして、作品をほんとうに創っているのは誰かという問いである。
シャッター音とは何か。潮騒とは何か。あなたの答えを、映画『Retake リテイク』は湖面の静けさと共にじっと待っている。

新谷和輝(ラテンアメリカ映画研究者)
「リテイク=撮り直し」とは、思い通りにいかない出来事をなかったことにする操作なのか、それともあらゆる状況を引き受けながら前向きに進む行為なのか。自主的な映画作りにつきまとうプリミティブな痛ましさとともに世界は切断され、そのとき映画装置に託されてきた厄介で切実な願いが垣間見える。ゾクっとするこの裂け目をどのように渡ればいいのか、そこから生まれる不確かな現実をどのように選び、つなげればいいのか。登場人物たちだけでなく私たち観客も試されている。

今関あきよし(映画監督)
あゝ、元気出た! 全部ダメで、全部サイコーにいい!
映画では普通ノイズとされる、海の音、川の音、蝉の声、風の音、電車の音、蛍光灯ノイズ、エアコンノイズ…心地良い
時の流れは音の流れ 映画は時間、時間は映画
昔「KISS」という高校生の映画作りの物語を紡いだことがある
漫画化はされたけど、いつか映画化もしてみたいと思っていた
リリシズムに溢れる
遊『あのさ、話あるっていったじゃん』 景『あ、はい』
映画観てるのか、風に乗って彼らの近くに浮遊して、映画作りを覗いてみている感じ
いいように使われる景が愛おしい。遊役の服の変化が、いい
演者でなく、血の通った人間がそこに感じた
陽が落ちると共に景の声のトーンが徐々に低くなっていく、切なさ からの、次へ進む
日暮れ・・・みんなーそろそろ次行くよー!の声が聞こえる あゝ、元気出た!

小林弘利(脚本家、小説家)
夏になると映画を撮りたくなる。その気分はいまも変わらずだなあ、と思いつつ。「また、夏になる」という主題歌の歌詞を聴いておりました。何度も何度も繰り返せる映画の魔法は、繰り返すことのできない人生、という思い込みさえも幻想だと言われた気がしました。

森直人(映画評論家)
「映画を作ろう」とはありふれた日常を輝かせる魔法の言葉なのか?
自主映画だからこそ立ち上がる瑞々しさで5人のきらめきを捉えつつ、『Retake リテイク』は青春の甘美と痛みを軸にした時間論を展開する。そのベンチマークは『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』ではないかと思う。

くれい響(映画評論家)
初期の古厩智之監督作を思い起こさせるかけがえのない青春映画としてみれば、「PFFアワード」グランプリは納得しかない。
映画の魔法を使った成長譚としてみれば、これほど「JAPAN CUTS」大林(宣彦)賞に相応しい作品はない。

竹中翔子(シネコヤ店主)
学生の頃、中野くんの映画はなんだか不思議な感性だけど、センスがあった。密かに長編を期待していたけれど、待てど暮せど、新作はやって来ない。もう自作は撮らないのかな…と忘れた頃にやってきた本作には、映画を教える側になって、子どもたちと過ごした豊かな時間が凝縮されていた。驚くほどに成熟した巧みさと、初めて映画と出会ったような初々しさを伴って。待望の劇場初公開、ヨッ、待ってました!

スズキトモヤ(シネマ・ライター)
「よーい!スタート!」で始まる映画の撮影。高校生活最後の夏に賭ける最後の青春。人生にも青春にも、撮り直しというリテイクは存在しない。すべてが、一発撮りでリハーサルなしの本番だ。瞳というレンズに映る景色は、一瞬の今しか映さない。すべてにおいて、刹那的で恒久的でもある。そして何より、映画は次の君達を待っている。次に映画の扉を開けるのは、若い君達だ!「はい!カット!」と掛け声を上げても、君達の青春はこの先の未来に続く。

古厩智之(映画監督)
夕方のヒキがいい。ロングショットの少年少女。伸びやかな手足。
主人公の少年がいい。黒くつぶらな瞳で、いつも何かを思っている。だから思う先が気になる。彼が見ているものが気になる。
夕暮れの映画撮影は終わらない。問いと答えが繰り返される。永遠に続くみたいで、気がつくとすでに遠い過去のこと。青春でした。

中根若恵(映画研究者)
一見、ありふれた青春映画の1コマから始まる本作は、しかし、私たちの予想を鮮やかに裏切り、映画的思考と生きることの哲学が交わる深淵へと観客を誘っていく。ともすれば、理論先行の堅苦しい作品になりがちな映画というメディアに関する自己言及的な実験を、俳優たちのみずみずしい演技によって軽やかに描いた稀有な一作。

宇田川幸洋(映画評論家)
映画の自主製作にかかわったことなどない人でも、自分が経験した夏のようになつかしく感じてしまうだろう、いとおしさにみちた映画。この映画の時間が終わらなければいいのにーーそんな欲望に、メジャーな映画会社は、続編、シリーズ化、スピンオフ等の方法でこたえる。商業的要請にも合致した、作品世界の増殖。そんな外への増殖に対し、この映画は内への、内での増殖をこころみる。いつまでも終わらない、いつからはじまったかもわからない、時間への旅……。

JAPAN CUTS OBAYASHI PRIZE 2024
中野晃太監督の『リテイク』は、その独創性、シンプルさ、遊び心によって、太陽の光を浴びた軽快なティーン・コメディであると同時に、現実と虚構の間の曖昧な境界線についてのホン・サンス的な内省的瞑想でもあります。
私たちは、この映画の粗削りで心に響く演技(でも芝居がかった演技ではない)、そして、ほんの些細な選択が、映画全体に見られるさざ波のよう、外へと波及していくことを気づかせてくれたことに感銘を受けました

ハンブルク日本映画祭 最優秀インディペンデント作品審査員賞
自己中心的になりがちな2人の映画人が、巧妙かつ独創的な方法で自問自答している。
この映画は、幼稚であることなく、子供らしい視点を見出している。
最初は単純に見えるが、とても複雑だ。
小さくても大きなことを成し遂げている。

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